イギリス編 〜


1999年9月17日(金) ロンドン:晴れ


一日中、ロンドンをぶらぶらして過ごす。
まずTottenham court roadまで行き、Oxford streetを端から端まで歩く。
でも夏のセールスが終わった後とあって、いまいち魅力に欠ける。
午前いっぱい歩いてへなへなになり、ピザのビュッフェを食べる。
ヨーロッパ一周の終わりにも、トラファルガー広場でピザを食べたのを思い出す。

午後は買い物をする気が失せてしまい、歩いてナショナル・ギャラリーとナショナル・ポートレイト・ギャラリーへ。この2つの美術館は大当たり。なぜ今まで見逃していたのだろう?ゴッホ・ピカソ・モネ・ゴーギャン・スーラ・ルソー・ロートレックと僕の好きな画家の作品が目白押し。ルノアールの「雨傘」もここにあった。
近代以前の絵は良く分からないのでパス。

ナショナル・ポートレイト・ギャラリーはさらに興味深かった。
英国文学史の教科書に出ていたブロンテ3姉妹の絵が、事も無げに展示してある。
「Icons of Pop」と題された特別展では、ビートルズからクイーン、ポリス、カルチャークラブ、デュラン・デュラン、スパイスガールズまで歴代のトップアーティスト達の写真があった。
クイーンの4人は黒い服を着て菱形に並んでいて、「QueenU」のアルバムジャケット撮影時の別バージョンのようだった。
常設展では、王室ファミリーやダイアナ妃はもとより、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョン(この二人には「Sir」の称号が付いていた)、ケイト・ウィンスレットまであり、ポール・スミス氏のでかい肖像画やアンディ・ウォーホールの「Queen ElisabethU」もあった。
英国国立でお堅い作品ばかりなのかと思ったら、意外にも楽しめた。
ワトソン先生の薦めだったのだが、来て良かった。

初めてロンドンの中華街に行った。
僕は日本人で、ここはロンドンで、街並みは中国。
でかい食料品店で買い物。醤油から豆腐、わさび、豆板醤、そうめん、大根、味噌、各種中華材料など何でも揃う。「出前一丁」が10種類くらいあった。
料理好きの僕は思わずワクワクしてしまうが、YHのキッチンではあまり手はかけられないので韓国の「辛ラーメン」と日清カップヌードル(カレー味)を買う。
45pと70pで、値段は別に高くない。同胞と支え合ってやっているからだろう。
でも店にいる間じゅう強烈に漂ってくるドリアンの匂いには参った。アジア人ばかりではなくアフリカ系店員もいるのに、良く平気だ。
横浜の中華街よりスケールが全然小さいが、周りがロンドンのソーホーとあっては「異国」感のギャップが違う。なかなかインパクトがあった。
近くではカンフー映画の脇役のような青年が焼きそばや炒飯を売っている店があった。
久々の中華料理は、ひどく魅力的に見えた。

もしここがイタリアだったら帰国までの1日くらいガマンして(それどころか喜んで)地元料理を食べただろうが、もうダメだ。
イギリスにおいて、こう毎日不味いものばかりではとても耐えられない。中には美味しいものもあるというエッセイやコラムをよく見るが、僕が知る限りではハッキリ言って「無い」。
場所によってはフィッシュ&チップスが美味いこともあるが、毎日これを食べて生きては行けない。

YHで自炊する人たちも、スーパーで美味しいものを探してもせいぜいパスタに缶詰と相場は決まっている。
たまに長粒種のお米を茹でてザルにあけ、チリの缶詰か何かをかけて食べている人もいたが、こんな米を食うならパンの方がマシだ。

この日もYHのキッチンへ。
隣で調理していたイギリス人女性2人は、パスタが茹で上がっているのに鍋を洗っている。
行儀が良いと言えばそれまでかも知れないが、パスタは断じて熱い内に食べる事こそが礼儀である。もう食べ物に対する興味や欲がないのか?
かく言う僕も、この日はインスタントなのだから人のことは言えない。カップヌードルは日本のものとちょっと違うが、まあ食べられた。辛ラーメンは美味かった。

話は変わるが、ロンドンは2週間のうちにすっかり秋になっていた。
マークス&スペンサーで売っていた水泳パンツはもう無いし、「GAP」の店では革ジャンに力を入れている。

以前ヨーロッパを一周してパリに戻った時に、すっかり季節が変わっている事に驚いたのを思い出した。あの時はもう、空の色から吹く風、人々の服や表情など全部違った。
今回は気づかないくらいに細かい所が少しずつ、しかし確実に、新しい季節になっている。

こうして僕は25歳になるのだ。
まるで人ごとのようだが、もう日が暮れた。日本時間ではすでに20代後半に入ったのだ。
前半最後の夜、YH同室の日経カナダ人、ドイツ人ティーンエイジャー3人、中東系イタリア人、アジア系スイス人と談笑して夜は更けた。


この日も写真を撮りませんでした。

説明無しでは分からないですが、
これは、ソールズベリの
露天ペットショップ。

犬用に骨などが売られています。



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