ヴィラ=ロボスについて
リオ・デ・ジャネイロに生まれ、「南米最高の作曲家」と呼ばれたエイトル・ヴィラ・ロボス(Heitor Villa-Lobos) ギターやチェロを弾きこなした彼の作品は、楽器それぞれの特徴を引き出し、その楽器の限界 に挑戦しているようでもあります。一般的には無名かも知れませんが、クラシックギタリストなら 誰もが一度は通り、その麻薬的な魅力にとりつかれる人が多いようです。私はヴィラ=ロボスの ことをほとんど知りませんが、私が感じた彼の魅力を紹介したいと思います。
プレリュードNo.1 ギター曲で私のヴィラ=ロボス初体験の曲です。チェロを思わせる低音弦のメロディーが印象的 で、ギターって弦楽器なんだよなって改めて思わされました。低音弦と1〜3弦の開放弦との組み 合わせで、ヴィラ=ロボスの発想の素晴らしさにしびれます。中間部のきらびやかな部分が前半 とは対照的で、かろやかに進んでいきます。ここでも開放弦の使い方がうまく、それによりギター 特有の響きをうまく引き出しています。 この曲を初めて生で聞いたのは、日系韓国人の女性の演奏で本当に感動しました。今でも忘れ られない演奏です。ギターの先生が彼女に「君は大陸的な響きがする。」と言われていました。 納得。絵がうかぶ演奏とはこういうものだと知りました。 因みに私の演奏は「荒削りで、激しく、普段の人柄からはとても想像できない演奏」という評でし た。 つまりヘタということか?
エチュードNo.11 この曲はしょっぱなから汗のにおいがプンプンします。でも、湿っぽくなくカラッとしています。夏 の暑い陽射しから一瞬コンクリートの日陰の中に入ったような感じ。情熱と、激しくなればなるほ どクールになる気持ちの2つの部分を持っている。アルゼンチンタンゴとかそういう感じの情熱で すね。 南でもイタリアとかとは違う感覚です。スリ・詐欺師にたとえると南イタリアではフレンドリーに近 づいてきて気付かないうちに騙されている、すられているという感じですが、スペイン〜南米で は、ニコニコ近づいてきていきなりナイフでブスッ・・・みたいな感じがあります。 中間部は、エレキギターの奏法で言えば、スイープという奏法で、開放弦の活かした幻想的な和 音をハープのように掻き鳴らします。そしてトレモロ・・・。 これには感動!!同じ高さの音を開放弦と押えた弦で響かせ、とても幻想的です。同じ高さの 音でも倍音の関係で聞こえる印象が違う。これはギターでないとできない芸当です。ギターってこ んなことが出来る楽器なんだって改めて気付きました。これがヴィラ=ロボスの凄さでしょうか? そして、また冷めた情熱を持ちつつ、Ending。 この曲はとにかくテンポが変わる感覚がむずかしい。ゆっくりな部分、速い部分、それぞれは練 習して数をこなせば、テクニック的にはそんなに難しくない。しかし、同じ1曲として続けて弾くの がとてもむずかしい。どうしても一体化した感じが掴めないので。 うーん、難曲です。
彼はホルンの使い方なども凝っていたようで、演奏者泣かせのことをいろいろやっているようで す。 参考HP http://www.ktrim.or.jp/~melchi/villa.htm 彼はほとんど独学で音楽を学び、クラシックともポピュラーとも言えぬ独自の世界を作っていきま した。私は初めて聞いた時、「ギターって弦楽器なんだ。」とあたりまえのことをまじまじと気付か されました。(クラシックギターってキチッ、キチッと音を出すので、私の中では鍵盤楽器=チェン バロとか、の印象がある)。ギタリストだけではなく音楽に触れているすべての人に聞いてもらい たい。南米の土の匂いがします。 ヴィラ=ロボスお薦めサイト http://www3.justnet.ne.jp/~okera/ongaku/villa-lobos2/villahome.html
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