具象図形
紋章に描かれる図形すべてをチャージ(charges)というが狭義では具象図形のことを指す。
具象図形は動物、植物はもちろんのこと、架空の動物、建物、工芸品なども描かれる。また日本の家紋のように
“忌み紋”という考えがないために骸骨や墓石などという不気味なものまである。
しかし、もともと騎士の使用するものだったことから強さを象徴するものが好まれた。その代表が
ライオンや鷲である。多くの者がこれらの図形を取り入れようとしたが同一紋章は存在してはならないという
制約があるため色を変えたり数を増やしたりしたがそれでも足りず、今度はその姿勢を変えてヴァリエーションを増やしたが、
各自が勝手な姿勢のものを使うのでは紋章本来の目的の「識別性」を著しく欠くことになる。そこで
主な動物などには決められた姿勢のパターンができ、その姿勢以外のものを紋章図に描くことが
禁止された。
またその歴史の長さから図形の形が変形してきて本来何であったかわからないものも出てきた。
一般に“百合の花”といわれるフラ・ダ・リ(fleur-de-lis)にはミツバチ由来説やカエル由来説が
あり、長槍を置く台だと思われていたクラリオン(clarion)は槍を使用するようになる前の時代
から紋章に描かれているため吹奏楽器だという説があるがいずれも結論は出ていない。
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