イタリア編 〜


1997年 2月1日(土) ヴェローナ 霧のち曇り

起きてもまだ濃い霧が立ちこめている。階下で朝食。これがスゴイ豪華。
まず盛り放題のパンにチーズ、ジャム、チョコペーストにヨーグルト、グレープフルーツとオレンジのジュース、コーヒー。これで5千リラ(400円)とは信じられない。朝食付きにして良かった。

ここには連泊してゆっくり体を休めることにする。体調の悪いままで一番好きなヴェネツィアに行きたくはないのだ。
11時過ぎまで二度寝する。体調はずっと良くなっている。
霧も晴れたようだし、水も切れたので散歩がてら街に出てみようと思う。

まずジュリエッタの家に行ってみる。商店の建ち並ぶ通りからアーチをくぐった中庭。
すぐにジュリエッタのブロンズ像が見えた。胸だけ金色なのは、触ると幸せな結婚が出来るからだそうだ。

でも果たしてあんな運命をたどった彼女にあやかって、幸せな結婚など出来るのだろうか?
すぐ上には、例のベランダ。石版にシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のセリフが刻まれている。
僕は大学2年の時に英国文学史Tのレポートで、この劇を扱った。劇中ジュリエッタは14歳で死んだ。
もちろん実在の人物ではないのだが、町はずれにはジュリエッタの墓があるという。ぼくは行かない事にした。

次にサン・フェルモ教会へ。こんな体調の悪い日に教会巡りもなかろうと思ったが、ヴェローナ教会周遊チケット売り場の綺麗な女性があまりにもヒマそうだったので買う事にしたのだ(5000リラ)。

幸いもらったパンフレットには英語の表記があったのでだいたいの沿革はつかめた。
何でも8世紀に建てられた教会が地震で崩壊したので1123年に再建され…云々。
ところどころ修復工事がなされているが、再度の崩壊が近いんじゃないかと思うような教会だった。

教会周遊チケットもこんな文化遺産を守るために発行しているのだと書いてあるが、客は僕ひとりしか居なかった。
円形劇場アレーナへ。余りにも完全な形なので、てっきり中世以降に建てられたものかと思ったが、何と紀元前一世紀の築。コロッセオの時代だ。
スケールは互角。高さがやや足りないが、保存状態は本当に驚く程良い。
こんな2千年も前の遺跡だが、夏にはオペラが催されるそうだ。入口の反対側の壁には、楽屋なのかタイムカード差しが掛かっていた。時給で働くオペラ歌手なんて居ないだろうが。

昼食。風邪をひいているので野菜を食べようと思い、一番安いサラダ(それでも9000リラ)を頼んだら、モツァレラとトマトだけの一皿だった。これは「ジョジョの奇妙な冒険」第4部でトニオが作ったものである。

マンガで想像していたとおり、確かに美味かった。 カルツォーネ。オムレツのようにピザを半分にたたみ、中にはチーズとハムが入っている。 ガス入りウォーターを入れて25000リラ。ちょっと高かった。

カステルヴェッキオへ。いかつい城塞。河を渡る大きな橋が浮いている。
「カステル」は城、「ヴェッキオ」は橋の意味だ。見降ろすと10人くらいのおじさんが腰まであるゴム長を履いて河につかり、釣りをしていた。遠くは霞んでいる。今夜も霧が出るのだろうか?

ホテルに戻ると、鐘が4時を打った。これでドゥオーモは閉まってしまった。イタリアは開館時刻はルーズだが、閉館時刻はキビシイのだ。まあ良い。体調回復の方が大事だ。早めに夕食をとって、とっとと眠ろう。
しかし例によってリストランテは19時にならないと開かない。仕方なく横になって「遠い太鼓」を読む。

アメリカ人らしい団体が来てガヤガヤとうるさい。でも横になっていると気分が良くなっていくのが分かる。
僕は相当疲れていたのだ。その証拠にリストランテでグラスを割ってしまった。
弁償すると言ったが「かまわないですよ」と言ってくれた。有り難い。

21時30分に眠る。


ジュリアッタの像。
「ロミオとジュリエット」は
イギリスの話だと
思っている人多いですが、
ここヴェローナが舞台です。


ロミオがジュリエットを見上げて
愛を囁いたベランダ。
今はジュリエットが見上げています。



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