イタリア編 〜


1997年 1月29日(水)
ジェノヴァ:晴れ トリノ:晴れ

7時過ぎまでよく眠る。
一階で朝食。大きなパン2個とカプチーノ。
コーヒーは自分で選んでボタンを押すベンダーだった。
バスに乗って坂を下り、プリンチペ駅へ。
発車表を見ると、あと2分でトリノ行きインターシティーが出る。
別に次の街がトリノじゃなくてもいいんだけど、まあ理想的な旅程なので急ぐ事にする。
しかし、息せき切って階段を駆け上り、ホームに出てしばらくしても列車は来ない。
ここはイタリアなのだ。

遅れて着いた列車に乗ってしばらくすると、一面雪の残った田園風景が広がってきた。僕は、確実に北上している。

もっと進むと真っ白な霧が出てきた。ほんの2,30m先が完全に視界から外れた白い世界。

20分以上遅れてトリノに着いた。大きな駅。
中庭があって、温室のようにガラスの屋根がついている。

北上したので覚悟していたが、別に寒くはない。
荷物を預けて街へ歩き出す。

ジェノヴァから来るとまず感じるのは、道が広くてきれいな事だ。
道路の人口密度が低くて歩きやすい。柱廊になっているメインストリートにはROLEXやMaxMaraなどの高級品店が並ぶ。

街並みは碁盤の目のように真四角で分かりやすい。ホッとする。
ホッとしたついでにポテトのピザで昼食をとり、両替をする。
何と10万円が1,307,700リラになった。

いい気分でアーケードを歩いていると、スポーツ用品店に昨日と同じLottoのジャージが88,000リラで売っていた。とりあえず考える。でも昨日買わなかった事をだいぶ後悔したし、旅慣れて今回は荷物も軽いし、この旅行中も使えるし、持ってきたジャージ洗えるし、大して重い物でもないし…、と考えれば考えるほど欲しくなる。

取りあえず最後のローマまではくだらない買い物はしないと心に決め、夕方に買う事にする。

ドゥオーモの石段に腰掛けて日記を書く。
ジェノヴァではこんな事できなかった。トリノはちょっと退屈かも知れないけど、まあとにかくホッとする街ではある。
と書いて歩き出したそばから、地下通路で10歳から12歳くらいの少年ジプシーにからまれかかった。よく見ると座り込んで手に看板を持った物乞いも多い。街が豊かなだけに増えるのだろうか。

自動車博物館へ。
煙突付きのクラシックカー、バイクからT型フォード、昔のフォーミュラカー、クラシック軍用車などなど何百台もあって楽しいが、出る時に5,6人の客が入っただけであとはずっと僕一人。

混んでる博物館もイヤだが、誰もいないのはあまりにも淋しい。
'85年式フェラーリがあった。後部シートのあるフェラーリなんて初めて見た。
考えてみたらクラシックカーを見たのも生まれて初めて。
街を走るフィアットにも長い長い歴史があったのだ。
前から乗る車を発見。何とフロントガラスとボンネットがドアのように斜めに開くのだ。フィアット500(「カリオストロの城」でルパンが乗っていた車)より一回り小さい。

車の歴史には、夢があって楽しい。
最近は夢のない中流階級向けファミリーカーばかりだ。

街へ戻って飯を食う。まともに食うと一泊分の金が飛んでしまうので、チャイニーズレストランで炒飯。海老がプリプリしていて美味い。
これで6,500リラ。まあ安い。懐かしい青島ビールと合わせて10,000リラ。良い食事だった。

ついにジャージを買う。おかみさんとその中学生の息子がLサイズを探してくれたが無い。Mは明らかに小さい。安いからと言って妥協はしたくない。

さてどうしようかと思って試しに展示品を見てみたらXLだった。OKして購入。
満足な買い物。

YHへ向かう。街外れにあるのでなかなか来ないバスを待って川を渡り急坂を登り、ヘトヘトになって門に着いたが、11から1月まで休館と書いてあった。
まったく「地球の歩き方」は頼りにならない。くだらないグルメ情報やショッピング情報なんてどうでもいいから、こういう基本的な事をちゃんと載せて欲しい。

遠路はるばるマウンテンバイクで来た旅人もあきれていた。

駅のインフォメーションに行って5万リラ以下の宿を探してもらったが、ないという。
では一番安いのはいくらかと聞くと、2万5千だそうだ。

どうやらfiftyとfifteenを聞き間違えたらしい。僕の英語が下手なのか、ヒゲのせいであまりにも貧乏そうに見えるのか。どっちにしてもちょっとショックだ。

またバスに乗り(もういちいち券を買っていない)、街一番の安い宿へ。
ひどくうらぶれた宿で壁はボロボロだしタイルも剥がれているが、まあ安い。
実は昨日のYHより安い(会員証がなかったので27,000リラ)。
一応書き物机もあるし、大きな洋服ダンスから外してきたらしく取っ手のついた姿見もある。

水を買いに表に出たら、教会の前で仮面をつけた女の子二人が火吹きのパフォーマンスをやっていた。
水を売ってくれた店員の女性もニコニコして見ている。得をした気分だった。

明日はモンブランが見える(らしい)アオスタに向かおうと思っている。

 
文中にも出てくる、
前から乗る車。
フィアット500よりさらに小さい。
路駐やり放題???


T型フォード。
クラシックカーといえばこれ。
世界最古の量産自動車だ。


古いフォーミュラ・カーを
整備するおじさん達。
クラシックカーレースでも
あるのだろうか?
(あったら楽しい)

どこの国の男も車好きだが、
イタリアの右に出るものはいない。



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