イタリア編 〜


1997年 2月3日(月)  パドヴァ 曇りのち晴れ

10時頃までゆっくり眠る。体調はほぼ回復している。
とりあえず私立博物館とスクロヴェーニ礼拝堂を目指す。今日はいつにも増して寒い。
実に久しぶりに日本人の姿を見る。
落ちていた財布を拾ってあげたら、日本人の女の子のものだったのだ。
博物館は2ヶ月も閉鎖していると言う。
スクロヴェーニ礼拝堂は壁と天井一面にジォットのフレスコ画でマリアとイエスの生涯が描かれていている。
十字架を背負って丘へ歩くイエス。磔にされるイエス。十字架から降ろされた彼を抱いて泣くマリア(ピエタの構図だ)と、紙芝居のように分かりやすい。
フィエンツェの鐘搭は大したものだが、ジォット氏の絵のほうはそれほどの感動は起きなかった。

トラットリアでボンゴレスパゲティーと牛のスネ肉を食べる。
ボンゴレは普通だったけど牛スネはとろとろになるまで煮込んであって、トマトとセロリのソースが苦くて美味い(唯一名前のわかる料理だったので偶然頼んだだけ)。

外へ出ると、寒さが身に凍みる。
この旅に出て、普通に外を歩いて東京の真冬より寒いと思ったことはあまりなかったけど(クールマユー ルは別)、今日は本当に寒い。

聖アントニオ教会へ。行く途中、川沿いに歩く素敵な道があった。落ちつく。
僕は単に水のある風景が好きなだけかも知れない。

教会はいくつも天蓋のある巨大な美しいもので、入るとすぐに帽子を取るように言われた。
撮影禁止、ノースリーブ・単パン禁止、、ペット連れ込み禁止、落書き禁止。サン・ピエトロばりに厳しい。
でも内部はスケールこそ違えども、勝るとも劣らない美しく荘厳なものだった。
ハート型のペンダントと写真がちりばめられた壁がある。
良く見ると子供の写真が多く、事故車の写真もある。ここはきっと、供養のための一角なのだろう。

プラート・デッラ・ヴァレへ。塀に囲まれた楕円系の美しい公園。
夏なら楽しいだろうが、今は人の姿は少なく、鳩が多い。この街ではベンチに腰掛ける時、比較的鳩のフンの少ないスペースを探すのが大変だ。

夕方近くなり、何だか腹が減ってきたので昨日のセルフで食事。
幸いメニューは日替わりだったので飽きずに済む。鶏肉の串焼き(付け合わせは茸のソテー)と例によってサラダバー、そしてこれも鶏で胸肉のソテーを食す。ビールなんかも飲む。すると何だか眠くなる。

そこでホテルに戻ってシエスタ。 この「何だか腹が減る」と「何だか眠くなる」という感覚は、健康を取り戻した証拠だと思う。

何にせよ、YHに移らなくて良かった。好きな時に戻って眠るというのが出来ないのだ。
これは冬場の風邪っぴきには相当堪えたんじゃないかと思う。

17:30頃目覚める。何と、また腹が減っている。きっと体が回復に必要な力を求めているのだ。
旅はまだまだ長い。充分に力を蓄えて臨もう。 TVでは、「怪傑ゾロ」や「未来少年コナン」をやっている。
イタリアのTVは言葉が分からなくても楽しめるプログラムが多い。
日本で日本語が分からなかったらお手上げなんじゃないかと思う。
夜には、イタリアでも大人気のセーラームーンをやっていた。日本でさえ一度も観た事がないのに、イタリア語で「月に代わってお仕置きよ!」なんてやっているのを観ると、どっちがオリジナルか分からない。
男の子にも人気があるのは「ドラゴンボール」。これも日本でチラっとしか観た事がない。
もうTV付きのホテルに泊まれる事もそんなにないだろう。

外食。初めてニョッキを食べた。ピッツァが専門の店だったせいか、あまり美味しくない。
イタリアのヨーカドーかダイエーとでも言うべきSTANDAで水とビールを買う。
1.5リットルの水870リラ、ビール2缶で2600リラ(安いのは1600リラからある)。750mlの瓶ビール850リラ。
なんて安いんだろう。
僕は今までイタリアで食費がかさむのにとても疑問を抱いていた。高校生の時や2年前にヴェネツィアに
来た時は確か物価の安さに驚いた覚えさえあったのに。
これはひとえに僕が「閉じた生活」をしていたせいだと思う。
(1)日が暮れたら出歩かない
(2)少しでも安い店を開拓しようとしない
(3)冒険するには疲れ過ぎていた。
の理由が考えられる。
でも、もう回復した。明日からはまた、ハードなバックパッカー的生活を始めよう。

ところで、STANDAには生鮮食品売り場が無い。たぶん野菜や魚は市場で、肉は専門店で買うのだろう。
日本では近くにスーパーが出来ると商店街の存続がおびやかされる。
それだけイタリアでは市場や専門店の歴史が長くて信頼されているのだろう。

ホテルの向かいの謎だった店は、何とジョルジオ・アルマーニのブティックだった。
やっぱりパドヴァは何のかんの言っても都会なのだ。日本人も来るし、アルマーニもある。

明日はいよいよヴェネツィアだ。
僕の世界一好きな街。いつかここで腰を落ち着けて暮らしたいと思っている。
しかも今はカルネヴァーレの真っ最中なのだ。
ヴェネツィア再訪はこの旅のメインテーマの一つでもある。
素晴らしき日々であることを心から望む。

テレビでカルネヴァーレの様子を見た。冬は時として水浸しになるサン・マルコ広場も、今は大丈夫らしい。

TVで「グーニーズ」を観ながらビールを飲み、珍しく深夜1時ごろ就寝。
明日はどんな宿に眠ることになるのか見当もつかない。
YHのベッドが空いていることを望む。


旅の愛用品シリーズ(1)
【マグライトAA&ヘッドバンド】

YHなど共同部屋での必需品。
各国のバックパッカーから、
「貸して!」と引っ張りだこ。
暗い夜道も安心な明るさ。
ヘッドバンドがあれば手作業や読書もOK。


旅の愛用品シリーズ(2) 【アイマスク&耳栓】

飛行機だろうが長距離バスだろうが
お構いなく熟睡させてくれる、頼れる相棒。


旅の愛用品シリーズ(3) 【トランプ】

友達作り・暇つぶし、
時には旅の資金稼ぎ(?)に
大活躍の逸品。
これは「大中」で50円で買ったもの。



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