イタリア編 〜


1997年 2月2日(日) ヴェローナ 曇り パドヴァ 曇りのち晴れ

8時30分に起きる。階下で朝食。昨日食べそびれたレバーペーストを食べる。美味い。
体調は回復に向かっているようではある。でも、まだ風邪の足跡というか気配は消えていない。
次の街でも少しゆっくりしよう。

駅行きのバスを逃しかけて豪快に転ぶ。
ダウンジャケットの腕には穴が開いたが、運転手さんがバスを停めてくれた。
日曜日のせいもあってマントヴァに向かういい列車がない。
1時間後にはモデナ行きが出るが、モデナには後で行くつもりなので地理的に重複する。
僕はヴェネツィア行きに乗ってパドヴァに行く事にした。
そろそろヴェネツィア・カーニヴァルも盛り上がっている頃だしパドヴァからなら日帰りで見にも行けるのだ。
それにマントヴァは湖に囲まれた場所なので、風邪を治すのには向かない気がした。
ヴェローナは素敵な街である。風邪さえひいていなければもっといろいろな所を巡りたかった。
途中駅ビチェンツァまでは静かだった車内が、ドヤドヤと押し掛けてきた20人ぐらいのオバサンに占領される。
猛烈にうるさい。だれかが大声を出すと、それに負けじと誰かがもっと大きな声を出して話す。キリがない。
僕の近くに座っていた若い女性も閉口している。まるで戦場だ。
僕は病み上がりだった頭が再び痛くなるのを感じる。車両連結部にでも行きたくなる。

パドヴァに着いた。 インフォメーションは日曜日だというのに開いていて、僕はホテルリストと地図を手に入れた。
市街まではヴェローナと同じくらい歩いたが、昼間なのでそんなに苦ではなかった。 ホテルはすぐに見つかった。
川沿いの静かな部屋で、駅と街の中間。申し分ない。53000リラ。近くには40000リラのホテルもあったが、
今日だけはゆっくり眠りたいのだ。1000円くらいの差額で不快な思いはしたくない(非バックパッカー的な発想。
参っているのだ)。 それでも昨日より1000円以上安い。

テレビが付いている。幸か不幸か日曜日で外に出ても何もないし、どうせゆっくり横になるつもりだったので観る。
通信販売をやっている。ベッドがその商品なのだが、これがしつこい。僕が観ただけで20分くらいやっている。
なぜかミニのワンピースを着た女性が寝そべったり取っ手やスプリングを見せたりする。ナレーションはやかましい男性。
「今なら枕とシーツと…をおつけします。すぐにお電話を!」というところまで日本ソックリ。
違うのは1分や2分で終わらない所だ。確かにこんなもの20分も観ていたら洗脳されちゃうかも知れない。

その後で観たのはレオタードの女性が楽しそうに使っている腹筋マシーン。台数限定らしく画面の下の方に「残り何台」という数字が点滅している。まあこれは、いつ電話しても手に入るんだろう。

気の毒なのはレオタード女性で、何しろ番組中ずっとそのマシーンで腹筋している。
途中、背中に敷いたマットの解説をする時は心からホッとしているのがありありと分かった。
やっと数字が「0」になったところで、天の啓示のような女性の声がした「ご好評につき50台追加します」。
レオタード女性はイヤな顔一つせず、笑顔(多少引きつってきた)で腹筋を続ける。

ミシンの通販もスゴイ。何と潰した空き缶をザクザクと縫うのだ。
しかもその後、電ノコでミシンを切断しようとする。「電ノコでも切れません」とでも言っているのだろうか?
いったいドコの世界にミシンが電ノコで切られるシチュエーションが存在するのだろうか?

しかしイタリアのテレビは観ていて飽きない。 イタリア語が分かったらもっともっと面白いと思うが、こっちの人はゼスチャーが派手なので何とか理解できる。

夕方まで眠って気分はすっかり良くなったので、はるばるパドヴァYHまで歩いて会員証を作りに行く。
ブザーを何度も鳴らしてやっと出てきた若い男が「そんなに鳴らさなくても聞こえてるよ」と真顔で言った。
ひと口にYHのスタッフと言ってもジェノヴァのように親切なのもいればここのように横柄なのもいる。

僕が事情を説明すると、何と今持っているポイントカード(六泊すると正会員証扱いになるらしい)で
ヴェローナのYHに泊まれたのだと言う。じゃあ、あの不安な夜はいったい何だったんだ?

そんなわけで会員証は作らず、無駄足に終わった。
しかしこの男も最後の方は駅からYHへのバスの乗り方を丁寧に教えてくれたし地図もくれた。
僕もリンリン鳴らしてごめんねと言って別れた。
黒服のシスターが大勢歩いている。日曜日だから何かミサでもあるのだろう。

昼はゴーストタウンのようだったパドヴァの街がどこから現れたのか老若男女たくさんの人々で溢れている。

東京の繁華街は日曜日の方が人が多いのに、こっちの日曜日にはショッピングなんてキヨスクでガムを買うくらいしかできないから、みんな家で昼寝でもしているのだろう。
そして夜になってリストランテが開き、放たれた鳩のように街に出てきたのだろう。

僕は昼食べたサラダバーのあるセルフ食堂に野菜を補給しに行く。魚のフライに何をかけようかと思ったら、キッコーマンの醤油があった。
ここのセルフは大学の近くなのでまあまあ安くて美味い(パスタは作り置きでまずいが)。
部屋に戻って3日振りのシャワー。熱い湯がタップリ出る。生き返ったように幸せな気分だ。
実は明日YHに移ろうかと思っていたのだが、シャワーは快適だし昼まで眠れる(YHは追い出される)。
クエンティン・タランティーノに似たフロントの男もにこやかだし、第一病み上がりなので予定通りもう一泊
するつもり。テレビでは「チキチキマシーン猛レース」や「フリントストーン」をやっている。
イタリアではチャンネルを回していると必ずどこか一局はアニメをやっている。言葉が分からなくても
全く問題はない。でも8時半にスティーブ・マーチンの映画があると予告があって楽しみにしていたのだが、
9時になってもやらない。日本でこんな事やったら大騒ぎだと思う。

パドヴァは素敵な街だ。実は昼食・夕食をとりに外に出た時に半分くらい見て回ってしまった。
何というか、シックな街だ。
もちろんヴェネツィアほど魅力に圧倒されるわけじゃないしシエナほど落ち着いた場所でもない。
でも僕はこの街が割と気に入っている。
何とスティーブ・マーチンの映画は別の局でやっていた。他局の番組を宣伝して何になる?NHK教育のように、
一社で複数チャンネルを持っているのだろうか(イタリアには49のチャンネルがある)。

スティーブの吹き替えをやっているイタリア人は羽佐間道男そっくりの声で、「俺がハマーだ!」を観ているようだ。
もう1時間近く見逃しているし、イタリア語で話にもついていけないので寝る。

疲れているのか風邪薬のせいなのか、ここ数日には珍しく目を覚まさずにグッスリ眠る。


この日はあんまり写真をとらなかったので、
日中使っていたバッグを紹介します。
渋谷のABCマートで買った
NIKEのショルダーで、
値段は6800円。


「ポケットがイッパイついていて便利!」と思い購入。
確かに良いはイイんだけど、
生地が紙ヤスリのように丈夫過ぎて、
長時間歩いていたら
ジーンズに穴が開いてしまいました…。


現在愛用しているのは、Gregoryのショルダー。
リュックにもなります。
11800円で購入。
ストラップは別売で3000円と高いけど、
8年くらい使ってます。
どこへ行くのも一緒。



Next


戻る

TOP