1994年 9月 23日(金)
オックスフォード:曇

7時に起きて朝食。
きちんとしたイングリッシュ・スタイルだった。

今日は、オックスフォードに行くつもり。
棚においてあった、ちょっと昔の「少年ジャンプ」を読む。
大半忘れていたし、もう1ヶ月もマンガ雑誌を読んでいないので面白かった。

棚には「地球の歩き方・イギリス版」があったので、今日一日使わせてもらおうと思った(僕のはヨーロッパ版)。
通りがかった黒人のコックさんにそう言うと、
「一日10£でOKだよ。」と冗談を言い、大笑いして貸してくれた。

パディントン駅でオックスフォード往復券を買って、乗車。
入ってきた列車は通勤客でいっぱいだったせいか、殆どの窓が開いていて寒い。
折り返して下りになったので、ガラガラに空いている。

なぜか一時間半もかかって、オックスフォード着。

一昨日はパリのソルボンヌ大学を見学した。
大学スタッフを目指す僕にとって、いろいろな大学を巡るのは一つの勉強なのだ。

メインストリートを通って、街の中心である聖メアリー教会へ。

塔に登る階段はかつて無い狭さ。
柱に取り付けられたロープを頼りに何とか登ると、オックスフォードの街が見渡せた。
城壁を張り巡らすように各カレッジが並び、街はその中庭のようだ。

黒マントの教授らしき女性が、颯爽と自転車で通る。
みんな手で方向指示している。
自転車は年季のせいか石畳のせいか、どれもボロい。

大学礼拝堂なのか、塔の多い街だ。

博物館が12時半に開館するので、とりあえず昼食にする。

近くに一軒しかなかった店に入るが、思ったより美味かった。
切り売りのラザニアとガーリックトースト、サラダ。
食後は日記のためのメモを書きながらコーヒーを飲む。

教授を中心に学生達が議論している。

博物館の豊富なコレクションを見た後、クライストチャーチ・カレッジへ。
僕が働いている大学図書館にここに関する本がたくさん入っていて、その写真や校風の描写に憧れていたのだ。

門を抜けると広大な緑の牧場。
中庭を抜けて礼拝堂。
ちょうどパイプオルガンの練習中だった。
僕の大学のチャペルとは比較にならないほど荘厳で美しい。
この辺がクライスト・チャーチの由来なのだろうか。

食堂には数々の肖像画の下に数百人分の食器がキッチリ並んでいて、まるで博物館化した宮殿のようだったが、どこからともなく食べ物の匂いがした。実際に使われているのだろうか。

大きい中庭から塔を望む。
授業は見られなかったが、なんとなく空気に触れられて良かった。
市街では一応何でも揃うようになっていて、マークス&スペンサーもNEXTもあった。

僕は雨天用のハンティング・ジャケットを買った。30£。何でこんなに
安いのか理解できないほど良い物だ。オイルが染みこんだ分厚いコットンが雨をはじく。
この街の人は、まるで制服のようにこの服を良く着ていた。
あまり気候が良くなさそうだから、きっと必要なのだろう。

北上したせいか曇り空のせいか寒々しい。
9月でこれだから、勉強にも精が出ることだろう。
風が冷たく感じられて、そのジャケットを着て歩いたらたちまち汗をかいた。真冬には重宝しそうだが、まだこのジャケットの季節は早いようだ。

帰りはインターシティであっけないほど簡単にロンドンに戻った。
行きの半分しかかからなかった。
ここ二日の買い物で、出発時は半分ちょっとしか入っていなかった鞄はいっぱいになり、予備のバッグを鞄の背中にくくりつけた。
まるで重なり合った2匹の亀のようだ。

これでも旅慣れた方だと思う。
初めてロンドンに来た時などは一度しか着ないカーディガンもあったが、今回はそんな余計な物は一切無し。

セーターやマウンテンパーカーもオランダやドイツでは必要だったし、スペインでは短パンも着た。
気候差の激しいヨーロッパなので冬服を担いで南スペインを歩くのも仕方のない事だった。
ロンドンまで殆ど何も買わなかったのは、我ながら偉いと思っている。

あとは明日、この大荷物を飛行機に乗せてくれるかどうかにかかっている。

 


上 : 町の中心にある聖メアリー教会。


上 : クライストチャーチ・カレッジ。
ツタのからまり方が綺麗だ。


クライストチャーチ・カレッジの食堂。
「ハリー・ポッター」の世界だ。

 


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