イギリス編 〜



1999年9月4日(土)
東京・ソウル:曇り

5年ぶりのロンドンだ。

前回は、ヨーロッパ一周旅行の時であった。
その旅の途中に、スペインで20歳の誕生日を迎えた。
最終目的地と決めたグリニッジ展望台を踏んだ時、長旅の疲れと達成感、望郷の想いが入り混じって、震えた。

その前は10年近く昔だ。生まれて初めて自分で企画した、友人3人でのイギリス一周であった。
まだ高校生だった僕にとって見るもの全てが驚きの連続であった。

ヒースロー空港から街の中心部へ向かう列車から、夕暮れのサッカーコートや窓に明かりの灯った家並みが見え、これが異国の地を巡る旅であることに不安と期待を募らせた。
そんな訳で、ロンドンという場所は僕にとって記念碑的な意味を持っている。
そして3度目のロンドン。訪れていない場所はもう無い。今回ここは、始まりと終わりの場所なのだ。
ウェールズ・コーンウォール・湖水地方などまだ見ぬ地は多い。
今回の旅が、またこのロンドンを自分のマイルストーンとして心に刻めるようなものにしたい。

東京の自宅で、目覚ましのベルに叩き起こされる。ひどく眠い。
急な引越しと、夏の間の過密スケジュールが効いているのだろう。

前日、荷造りをしながら「高校生クイズ選手権」を最後まで観たのも良くなかったかも知れない。僕も2年生の夏、この選手権に出場した。前日の夜に電話がかかってきて、友達の代わりに出てくれと頼まれたのだ。6問目で敗退したが、例え予選を通過しても本人にバトンタッチしなければならなかっただろう。西武球場はひどく暑く、熱気に満ちていた。

階下に降りる。朝早いのに起きていた父に挨拶して家を出て、セブンイレブンで朝食を求める。ミニマグライトを忘れた事に気づくが、どうやら家に戻っている時間は無さそうだ。

生まれて初めてスカイライナーに乗る。読み忘れていた雑誌をぱらぱらとめくっている間に、空港に着いてしまった。朝7時30分。今のところ予定通りである。
チェックインして機内に荷物を預け、美味しいものの少ないイギリスでこれから何度も利用するであろうマクドナルドで朝食の続き。

ロンドンで訪れる予定のワトソン先生に小さい達磨を買う。
細かい金を使い切って搭乗。これで日常とはしばらくのお別れだ。
この夏の大雨で、住んでいた部屋が雨漏りしてしまい、引越しを余儀なくされたのでひどく忙しい日々だった。
でも、もうこの飛行機に乗ってしまえば区役所だの不動産屋だの保険会社だのは無しだ。

僕は離陸後、少し眠る。
とても疲れている。
ガイドブックに目を通す暇も無かった。
どこにどんな順に行くかも、全く決めていない。
今はとにかく静かなベッドの上でただ眠りたい。

それだけ。


16歳の夏。
初めてイギリスを旅した時の一枚。

ここはスコットランドの
ネス湖畔の街、インヴァネス。

当時、ネッシー捏造のニュースは
まだ誰も知らなかった。

僕も運さえ良ければ、
見られるのではないかと思っていた。

この旅では日記をつけていなかったのが、
とても残念だけど、印象の強い旅だったので
いつか思い出しながら発表したいと思っています。



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