1994年 9月 13日(火)
 グラナダ:晴れ


起きたら胃痛も腹痛も治っていた。
駅前からYH目指して歩く。
昨日の荒れた食生活と夜行の寝不足がたたって疲れていた上に、駅から
延々着いて来た宿の客引きにウンザリしていたが、やっと見つけたYHの室内を見て吹き飛んだ。

何とツインルームでシャワー・トイレ付き。
窓も明るくて清潔そのもの。
これで850ペセタ(当時700円くらい)なんて信じられない。

良い気分でシャワーを浴びて洗濯。
疲れはあるが素晴らしい寝床が約束されたので何とか元気が出た。

街に出て、野菜不足解消のためトマトを食べた。
ベーコンとパン、冷たい紅茶。

アンダルシア地方とあって、街はフラメンコの衣装やカスタネット、人形やギターを売る店が多い。

南へ追いやられたイスラム勢最後の城砦、アルハンブラ宮殿へ続く坂道は林道で、とても涼しくて静か。

時折姿を見せる門や水飲み場は今までのどの様式とも違っていて、エキゾチックだ。
入り口広場には猫が多い。

中に入り、とりあえず塔に登った。
今までのどこよりも高く、街全体どころか遙か遠くの山々や低い空、地平線が見えた。
迷宮のような、城の土台跡。
階段、井戸らしき穴。
博物館内の柱やタイルには幾何学模様の彫刻が施されている。

数々の花に飾られた庭園。ジャスミンの強い香り。
噴水。城壁型に刈り込まれた並木。

日差しは強いが、標高が高いせいかそれほど暑くはない。
ここは何だかスペインから遠く離れたような気がする場所だ。

宮殿そのものは何とも変わった細工が施されている。
まるで洞窟のように下から上へ掘り上げられた天井。

ガウディのモザイクのようなブルーのタイルがちりばめられていた。

パテオ(中庭)の、有名な「ライオンの噴水」には近づくことが許されない。

敷石の並べ方も、どこか異国的。
かつてここにイスラム文化が花開いたことを物語っている。

彼らを追いやったキリスト教徒も、この宮殿のあまりの美しさに、破壊できなかったと言う。

宮殿を出て街へ向かう下り坂の途中に、ギター工房があった。
原田が12弦ギターを求める。
僕がつたないスペイン語を駆使して値切り、ケースと弦付きで2千円くらい負けてもらい、3万3千円。
重そうだが、音といい形といいとても良いギターだ。

YHに戻って、気持ちよくシエスタ(昼寝)。
スペインのこの習慣は、自然に僕に馴染んだ。

庭から、原田が買いたてのギターを奏でる音が聞こえてくる中気持ちよく眠る。

8時頃起きて夕食。
明日はアルヘシラス、そしてあさってはついにアフリカ大陸、モロッコだ。
興奮のせいかシエスタのせいか、うまく寝付けなかった。


宮殿の中庭にて。


廻廊状になった建物の2階から。


迷宮のような城跡。


中央が、ライオンが支える噴水。



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