1994年 9月 11日(日) バルセロナ:晴れ


窓から入る夜風で途中何度か起こされるが、夜10時から朝10時まで、まる12時間眠った。
体はすっかり元通り。

だが、このドミトリーにはもうウンザリなので移動する。近くの安宿はいっぱいで、隣のペンション(これまた安宿)を紹介してもらった。

4人部屋で、昨日に比べると病院のように清潔。窓も閉まるし、ロッカーもデカい。しかも1200ペセタ(当時1000円くらい)。

大満足で朝食。昨日の店は閉まっていて、お向かいへ。

今日は旅人の大敵、ドミンゴ(日曜日)。店は殆ど開いて
いない。

カフェ・コン・レチェ(カフェオレ)とベーコンのパン、ドーナツ。
スペイン語は肌に合う。英語とイタリア語混じりで何とかなる。

店はエライ混みよう。きっと向かいのライバル店が休みだからだろう。

地下鉄の入り口が閉まっていて驚く。
まさか日曜日は休みじゃあるまいかと心配したが、別の入り口から入れた。
そんな心配も大袈裟じゃないくらい、日曜日は何もかも休みなのだ。

アントニオ・ガウディが造ったグエル公園へ。夏の日差しは熱く照りつけ、僕達は汗だくになって公園に続く坂を登った。

やがて現れた公園は、何とも奇妙奇天烈。まるで小学校の卒業製作を集めたようだ。
でも、疲れたところに何か楽しい気持ちを与える不思議な魅力があった。トカゲの泉、洞窟のような回廊。

ガウディ美術館には家具類があった。
建物を見ても家具を見ても、彼は相当な変人であったようだ。公園最上部の丘の上からは遠くにサグラダ・ファミリアが見えた。
サッカー場は子供の試合中。
得点が入ると応援団から花火が上がり、やかましく爆発
する。さっきからこの音がうるさかったのか。ゴールした子供はプロさながらのパフォーマンスで観客に応える。

暑い一日。
同じくガウディの作品、カサ・ミラへ。日曜日で中には入れなかったが、これまた特異な建築。とても人が住んでいるとは思えない程。直線は円柱の一部だけ。ベランダも異形。

バルセロナ・オリンピックの時から一度見てみたかった、
サグラダ・ファミリア(聖家族教会)へ。地下鉄駅から階段を登り出ると、背後にニョキっと建っていて驚いた。まるで食べた後のトウモロコシが4本並んでいるようだ。あまりに巨大。しかもまだまだ建築中とは、驚く他ない。
彫刻は見事で、洞窟のようではあるが門は意外なほど華麗。内側は工事現場。ここに、さらに高い搭を擁する本陣が建つという。
200年も先の話だ。

現在の搭に登る。トウモロコシの粒の部分は窓。幾度も、隣の搭に移れる場所有り。やっと登った頂上には、ガウディ特有のモザイクで十字架と鳩のオブジェ。高い所好きの僕は今までにいろいろな搭に登ってきたが、中でも一番楽しかった。

昨日登ったモンジュイックの丘を、今日は逆に望む。
べらぼうに高い。暑い夏の日差しに、僕の居る搭の影がくっきり映し出されている。この圧倒的存在感。この魅力。僕は大きくぽかんと口を開いたままだった。

スペインに来たからには闘牛を見てみたい。
闘牛場を探して一時間近く歩くが見つからず。警官に訊いてやっと到着。
何と、サグラダ・ファミリアのすぐ近くにあった。

午後になってもまだまだ強い日差し。
いよいよ、待望の闘牛が始まる。

 

グエル公園入り口のトカゲ。
愛されているオブジェ。


グエル公園内にあるガウディ美術館。
ベランダに出てみた。


バルセロナオリンピックでお馴染み、
サグラダ・ファミリアの姿。


公園に濃い影を落とす搭。
暑い一日。


この門の彫刻は、ネスカフェのCMにも
出ている日本人主任が作っている。


搭と搭との間。
十字架の下の樹に鳩のオブジェ。
上の写真にもその影が見える。


やっと見つけた闘牛場。


搭の内部。
螺旋階段の途中にて。


教会内部はまだまだ工事中。



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